2010年6月25日金曜日

虫と鳥と人のために

ナワールガーデンの緑の中で

どこかで
花が咲く。


ほとんどが緑色のなかに、
黄色や、青

花の色に
目を奪われるのは、虫と人
フラックスの花。
とても小さくて風に揺れる。




虫と私は、
花に目を奪われる。

でも
植物には、視覚はない。

そこに十分に水があって
暖かく、太陽があたり、風が吹き
夜露に濡れ、虫と戯れ、
いのちが増やせるか。
 -
 そのために、目はいらない。


自分の花の姿を見ることもないし、そんな必要もない。

なのに、花をこの世界にくれる。



それは、目のある生き物のための
美しさと輝きのギフト。

開花して、この世に、くれる。
昆虫や私を、簡単につないでくれる
奇跡のような花


    *    *    *


花はいのちのために、
受粉し実をつけてくれる。


ブルーベリーの甘い実。色ずくのは、鳥や人のため。


鳥がついばんで食べてくれるための色。


つまんで
感じる
甘みと酸味とやわらかさ。
その
広がる世界を、味わうとき
植物は自分のいのちを
私にわけてくれる。
植物はどこからどこまでが個体かなんて
気にしない。
地球の上、無限土に種が広がり
そして、根が少しでも残って、土と水と太陽があれば
それは増えていく。



有用な植物も、雑草も、
共に平等に。
暖かな太陽の光を受けて
風を受けて、湿度を感じて、虫を触って
そうやって
植物と同じように
目を使わずに
庭を観れば
自分を自分にさせているトナールの結び目が、ほどけていく

結び目の「目」を使わなくても
私やあなたはナワールに、いる

とても明るい、ズッキーニの黄色の花。
生のまま、落ちた花を齧る。いのちの味。

植物は
いのちで
ギフトをくれる
目と、口がついている
虫と鳥と、人のために。


美しい色をした実を。


心奪われる味覚を。


神々しい
美しい色の花を。



植物は目がある生き物よりも
崇高で、どこにでも愛をくれる




いつだって、
わたしの結び目をほどいて、
ナワールにつないでくれる

そして
虫と鳥と人のために、ナワールガーデンで待っていてくれる





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